- 透析JOURNAL
- interview
- コヴィー博士の「7つの習慣」が示す人格主義と原則の力
- コヴィー博士と『7つの習慣 成功には原則があった!』について
コヴィー博士と『7つの習慣 成功には原則があった!』について
【目次の主な柱】
- 第一部 パラダイムと原則について
- インサイド・アウト(内から外へ)
- 人生の扉を開く「7つの習慣」
- 第二部 私的成功
- 第一の習慣 主体性を発揮する
- 自己責任の原則
- 第二の習慣 目的を持って始める
- 自己リーダーシップの原則
- 第三の習慣 重要事項を優先する
- 自己管理の原則
- 第三部 公的成功
- 相互依存のパラダイム
- 第四の習慣 Win-Winを考える
- 人間関係におけるリーダーシップの原則
- 第五の習慣 理解してから理解される
- 感情移入のコミュニケーションの原則
- 第六の習慣 相乗効果を発揮する
- 創造的な協力の原則
- 第四部 再新再生
- 第七の習慣 刃を研ぐ
- バランスのとれた自己再新再生の原則
- 再びインサイド・アウト
本書(キングベアー出版定価2,039円)の原題は『The Seven Habits of Highly Effective People』。
1989年の初版で、日本語版は完成まで2年半をかけ96年に発行された。
以来、版を重ね、また約40言語に翻訳され発行部数は世界で3,000万部、日本で160万部を超え、国内では「3・11」以降、新たなブームを呼んでいる。「ビジネス書というより人生、人間学、哲学の書」「名著中の名著」との声も。
日本語版に各界トップが称賛の言葉を寄せているが、その一人、卓越したおもてなしで知られるザ・リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長(当時)の高野登氏は「これほどに人間を深い慈愛に満ちた目で捉え、書かれた本を私は知らない」と述べ、同社の幹部研修の中核に据えていることを明かしている。
そうした内容豊かな481ページの大作をすべて紹介することは難しいが、まだお読みでない方が本対談をより良く活用いただけるよう、重要なキーワードやポイントをダイジェストした。
イメージ豊かな概念図とキーワードがいっぱい
とにかく、人を成長と成功に導くプロセスが、イメージ豊かな概念図と具体的な話題、的確な説明やキーワードで語られている。コヴィー博士は「人格主義の回復」が成長と成功の土台と位置づけ、それを実現するために「普遍的な原理原則」に基づく「7つの習慣」を身につけなければならないと説くのだが、それは、次のような強固な裏付けに支えられている。
- アメリカ合衆国建国以来、アメリカで出版された「成功」に関する200年分の文献をすべて徹底的に調査、研究した。
- その結果、最近50年間の成功に関する文献の内容は、その場しのぎの表面的で薄っぺらなものだったが、それ以前の150年間の文献は対照的に、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、節制、黄金律などが成功の条件として取り上げられていた。これは人格主義と呼べるもので、中でもベンジャミン・フランクリンの自叙伝は代表的で、一人の人間がいくつかの原理原則を自分自身の人格に深く内面化させようとする努力の物語だった。
- この人格主義では、「成功」といわれるような人生には、その裏付けとなる原理原則があり、その原則を体得し人格に取り入れる以外に、人が真に成功を達成し、永続的な幸福を手に入れる方法はない。
そして、「7つの習慣」は、効果的に生きるための基礎的な原則に基づいていて、それを身につけることは、永続的な幸福と成功を支える原則を自分の中に深く内面化させることである――というのである。
出発点は「自分自身を内面から変える」
その「7つの習慣」を身につける前提、ベースとして、人生の扉は自分白身で開くしかないと迫る。インサイド・アウト(内から外へ)、つまり「自分自身を内面から変える」ということだ。
また、パラダイムシフト(世の中の仕組みについての認識の転換・見直し)や、ミッション・ステートメント(個人的な憲法または信条)の作成、さらに人格とリーダーシップの関係などについて、新鮮な視点で、成長と成功へ向かうプロセスが次々と提示され、展開していく。
主な概念図フランクリン・コヴィー・株式会社より
【習慣の3つの要素】(第一部 P53ページより)
習慣を育成するには知識とスキルとやる気が必要である。
【成長の連続体】(第一部 P55ページより)
7つの習慣は、人間の成長過程を支えるものである。そのプロセスは依存から自立へ、そして相互依存へと導くものである。
【主体的な生き方】(第二部 P109ページより)
主体的な人は、自分のコントロールできる事柄(影響の輪)に集中することにより、積極的なエネルギーを生み出し、それによって影響の輪を拡大する。
【時間管理のマトリックス】(第二部 P215より)
私たちのすべての活動を緊急度と重要度という二つの軸によって四つの領域に分けることができる。
【勇気と思いやりのバランス】(第三部 P322より)
Win-Winを求める人は、高い勇気と思いやりを持っている人である。
【成長の螺旋】(第四部 P464より)
私たちは、決意し、実行し、学んでいくプロセスを繰り返すことにより、上向きの螺旋状のスパイラルをつくり出すことができる。