施設の改善・改革・成長と
医療の質向上に大きな手掛かり
- 透析JOURNAL
- report
- 施設の改善・改革・成長と医療の質向上に大きな手掛かり
- 調査結果/属性など基本事項
調査結果/属性など基本事項
調査結果
- 導入前の透析方法について、情報の量と質がその後の患者の満足度に強く影響しており、改めて情報提供・医療連携体制の重要性が浮き彫りになった。また、「患者満足度調査」実施 施設で、患者の満足度が未実施施設より高いことがわかった。
- 一方、患者の22%強が「今の施設を変わりたいと思ったことがある」と不満を持っていた。
- 「他施設に移りたい」理由の大半はヒトヘの不満。施設マネジメントの変革が期待されている。
- 質の高い透析医療の実現のため、患者は当事者意識、自立心を高めようとしている。
これは、今回の調査で浮かび上がった重要なポイントである。これらの実態と課題について検討し、読み解いていくうえでキーワードとなるのが、透析医療のそれぞれの当事者間のズレの解消、信頼関係の構築に欠かせない情報、コミュニケーション、組織マネジメントであった。以下、保存期(導入前から透析治療が決まるまで)、導入期(外来透析導入1年以内)、現在(透析維持期)、そして「今後」と、クロス集計も加えながら順を追ってみていく。
属性など基本事項
年齢構成は、60歳代が37.2%で最も多く、次いで70歳代が26.8%、50歳代が19.5%、49歳以下は全体の9.4%(40歳代6.9%、30歳代2.4%)で、80歳以上は7.2%、20歳代以下はゼロだった。この傾向は日本透析医学会の「2010年 我が国の慢性透析療法の現況」の傾向ともほぼ一致する。透析導入からの経年数は1年未満が0.4%、1~5年が20%、6~10年22.4%、11~15年20.1%、16~20年13.0%、21~25年9.3%、26年以上14.8%(図1、図2)。男女比は男性60.6%、女性39.4%、職業の有無では有職者は26.6%だった。
通院時間は、片道15分以内が一番多く43.5%、30分以内に広げると81.4%になる。自宅から通院している人が93.7%いることから、概ね自宅に近い透析施設に通院していることがわかる。
また、通院方法では自動車33.5%、電車・地下鉄バスの23.4%が多く、透析施設の送迎14.5%、徒歩11.6%、自転車バイク8.8%などの順だった。1入で通院が85.3%の一方、いつも誰かに付き添ってもらっている人が11.2%いた。その付き添いでは配偶者が44.3%で一番多かったが、「もし1人での通院が難しくなった場合、介助をあてにできる人はいますか」には半数強の人が「いない」と厳しい見方をしている。
透析導入となった原因疾患は慢性糸球体腎炎(42.7%)、糖尿病(18.3%)、高血圧(10.3%)などの順だったが、「わからない」も9.1%あった。
ちなみに、回答した会員の中に腎移植によって透析から離脱した2人が含まれていた。全腎協=全国腎臓病協議会の活動の歴史と広がりの一面を示すものだろう。