医療経営戦略研究所
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特集 全腎協「透析患者の行動選択に関する実態調査結果」報告
施設の改善・改革・成長と
医療の質向上に大きな手掛かり

1.保存期(透析導入前から透析治療が決まるまで)

施設選びは希望通りとほぼ希望通りが90%以上

透析導入前の保存期における透析施設(透析医療)に関する情報の入手先(複数回答)は、「導入した病院の医師」が最も多く(65.5%)、次いで「他の病院の医師」(24.2%)と続く。「導入病院から渡された施設一覧」からも9.4%で、施設見学の6.8%よりも多かった。他は家族や知人(5.5%、インターネット(3.7%、他の患者(2.1%)など。「患者会から」は0.8%だった。最終的な判断材料も情報の入手先と同じ傾向だったが、患者会はさらに下がりわずかに0.2%だった(図3、図4)。

 

年齢別にみると、情報の入手先は年齢層間に大きな違いは見られなかったものの、35~39歳の「インターネットから」が12.5%と平均を大きく上回った。また、施設決定の判断材料として「夜間透析をしているところ」「職場に近いところ」「通院時間の短いところ」などがあった。

こうして得た情報に基づいて「希望通りに施設を決められたか」の問いには、「希望通り」が50.4%、「ほぼ希望通り」も41.8%あったが、「あまり希望通りではなかった」「全く希望とちがった」が合わせて7.8%あった(図5)。


セカンドオピニオンや治療法の種類についての認識が不十分

セカンドオピニオンを受けた理由
  • 医師が勉強不足というのが患者からもわかったし、親身に相談に乗ってくれない態度に安心できず、まかせられない気がした。
  • 治療について相談しても医師や看護師によって意見が違ったため。
  • 質問しても「考え過ぎ」と言われるなど患者の立場を理解してもらえないと思った。
  • 透析導入が近いと思ったが、あまり説明を受けられなかったので。
  • 多くの情報や、いろいろな視点からのアドバイスに出合ってみたかった。

次に、「セカンドオピニオン」について聞いた。70%近くの人が「この言葉を聞いたことがある」と答えており、「セカンドオピニオンを受けようと思ったことがある」が39.1%あった(図6)。と同時に、実際にセカンドオピニオンを「受けたことがある」と答えた人の実数が「受けようと思った人」を大きく上回っていた。

この矛盾は枝質問に伴う記入の際の混乱やアンケート調査への不慣れによる誤解、さらにはセカンドオピニオンについての理解不足などによるとみられ、いわゆるドクターショッピング的な要素も含まれているようである。いずれにしても、セカンドオピニオンがまだ十分に認知され定着しているとは言えないのではないか。

また、「セカンドオピニオンを受けようと思った理由」(図7.複数回答)では、「より良い治療法を知りたかった」と答える人が多く(66.7%)、また医師への不満(26.0%)には、「悪化しても対応がいい加減」「相談など話を聞いてくれない」「不信感がある」などの記述があった。若年層では「医師やスタッフに不満がある」が「より良い治療法を知りたい」を上回っていた。記述欄には「導入前も先生の言う通りにしてきたのに透析をすることになってしまった」といった声も。

そして、透析治療に入る前に各種透析方法については、「知らない」が過半数の58.3%だった。41.7%の「知っている」のうち具体的に知っている透析方法(複数回答)では、血液透析(HD)と腹膜透析(CAPD)は各95.0%、83.5%と大半が知っていた。HDとCAPDの併用は15.5%、血液透析濾過(HDF)は10.0%だった(図8、図9)。

その情報源(複数回答)は主に医師からの説明(69.3%)によるが、本や雑誌(30.2%)、患者(12.6%)、インターネット(10.6%)、医師以外のスタッフ(10.1%)が続く。ここでも患者会は低く、「全腎協事務局」は1.5%にとどまった(図10)。

このほか、主治医が専門医かどうかを知っていたかについては、74.3%が「知っていた」半面、「知らなかった」17.8%、「そもそも専門医を知らない」が7.9%あった。