医療経営戦略研究所
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特集 全腎協「透析患者の行動選択に関する実態調査結果」報告
施設の改善・改革・成長と
医療の質向上に大きな手掛かり

4.今後について

「新しく施設を選ぶ」基準は医師の対応、医療の質、スタッフの対応

要望など「今後のことについての質問」には、「新しく透析施設を選ぶとしたら」といった仮定の質問がある。これは、現在の要望や不満を「別の表現」によって明らかにしようとするねらいだった。

その結果、新しく透析施設を選ぶときの相談相手(複数回答)として配偶者を選ぶ人が50.7%と最も多く、次いで「今の施設」(30.9%)、患者会等の患者仲間(22.3%)の順だが、導入前や治療法についての情報源として、きわめて少数だった患者会などが大幅に増えていることは、患者会活動の今後への期待が込められているためではないだろうか。

また、「子供や孫」(20.8%)が情報源として期待されている一方、「誰とも相談しない」が10.7%あったのが気になる(図25)。

新たに施設を選ぶときに「とても重視する」項目は、「医師の対応」が最も多く67.3%で、「医療の質」の66.1%、「スタッフの対応」の59.6%と続く。「送迎の有無」は34.4%で、「仕事との両立」は27.7%、「評判・口コミ」は25.4%だった(図26)。

記述欄には、「看護師の熱心さ」「心配り」「医師の能力」「誠意」などがあり、ここからも「人」へのニーズの高さ、「人」の重要性が感じとれる。これは全年齢層で同じ傾向を示しており、患者はハードよりもソフトを重要視していることが分かる。

「不満層」と「普通層」への 働きかけと活性化が重要

この点に関連して、「新しく施設を選ぶときに重視する項目」と先の図19の「満足度」の関係を、「現在満足している」と「普通」と「満足していない」の3グループに分けて分析してみた。

患者の満足度の違いや今後の施設に対する考え方の背景などにあるものをより深く知る手がかりを探るためで、重視度(期待度)の高かった「医師の対応」「医師以外のスタッフの対応」「施設の清潔さ」の3項目について満足度との関連についてチェックした。

その結果、「満足していない」が「満足している」よりも3項目全部で重視する割合が高かった。これに対して「普通」では、「重視する」が他の2グループより3項目とも10ポイント以上も少なく、逆に「どちらともいえない」が多かった(図27は結果の一部)。

これから考えられることは、「満足していない」グループの多くが現状に諦めているのではなく、より良い透析医療の実現を願っているということである。それだけにこの層への積極的な働き掛けが重要になるだろう。と同時に、潜在的な不満や要求、葛藤を抱えながら、「普通」「どちらともいえない」として、ともすると主体的なかかわりや判断を回避しがちな人数的に大きな比重を占める、この「普通層」にどう対応し、どう活性化していくかは、患者会活動や施設にとって今後の大きなテーマになりそうだ。

今後は、「不満足層」や「普通層」も含め、患者の心理を理解し、パワーを引き出すためのキメ細かな聞き取り調査なども必要になるだろう。

困りごとの相談相手はもっぱら医師と看護師

また、「新たに透析を始める人に何をアドバイスするか」の質問(複数回答)には、「施設訪問をして自分に合っているか確かめる」が66.4%と最も多く、「生活スタイルに合った施設を選ぶ」(61.4%)、「合併症の対応をしてくれる」(42.9%)、「情報提供してくれる」(41.2%)と続く(図28)。記述欄には、「医師・スタッフが親切なところ」「インターネットで調べたり、先輩患者の話を聞く」「医師が有能で勉強熱心・データより患者を診るところ」などがあった。

新たに透析を始める人へのアドバイス
  • 施設選択のためには、それぞれの施設の患者に対する医療管理のあり方についての情報を確認しておくことが大事だ。
  • なによりもまず、自分の身体の状態をデータに基づいて十分に把握しておくこと。
  • 自分で的確な判断ができるように主体的な姿勢で正確な情報を収集しておこう。
  • どこで透析を受けようと何よりも自己管理が重要だ。
  • 状況は個々人で異なるので、あえてアドバイスはしない。それぞれが自立しなければダメ。

このほか、「ここ6ヵ月以内に困りごとがあったか」の質問に30.2%が「ある」と回答。その場合の相談相手として医師と看護師が各45%を占めていた(複数回答)。臨床工学技士と事務職員を含めると施設の人が大半だった。透析を受けている友人・知人が17.0%の一方で、「誰にも相談しなかった」が14.9%あった。

さらに、「(勤務している)会社の人事部」といった記述もあり、ここでも仕事との両立について悩む姿が覗いていた。

薬剤関係では、「現在処方されている薬剤について説明を受けていますか」には90.7%が「受けている」と回答。「説明されていない」5.1%、「わからない」4.2%だった。

また、「薬が変更になった場合」の効果や副作用の説明も、それぞれ91.3%、6.3%、2.4%。このほか、「現在処方されている薬剤の最新情報(安全性情報等)は説明してほしいか」には、「ほしい」が60.6%、「特に必要ない」32.4%、「わからない」7.0%だった。